環境が人を育てる

指導方針と言うほど大袈裟なものではありませんが、教えている子供達にも「人に教える」と言う事を経験してもらいたいと、いつもチャンスをうかがっています。
人に教える事で、その事のへの理解度を深める、いつものと違う状況を経験するなどが主な理由です。
前日の練習を休んだお友達に、「内容を教えてあげる係り」から、新しく入ってきた子に「トイレの場所、チームのルールを伝えてもらう係り」、得意な練習にて、みんなに「上手に出来るためのコツを教えてあげる係り」・・・、いろいろです。
昨日、キンダー(幼稚園生)の練習に体験の子が1人参加しました、仮に名前を「ヒデ○」とします。
いつも通りその子の先生役を1人任命。同じ幼稚園だと言う事で白羽の矢を立てました。仮に名前を「ダイ○」とします。
「じゃダイ○、ヒデ○に今の練習教えてあげて」と声をかけると、後ろで聞いていたダイ○のお母さんから、「うちの子が人に教えるなんて大丈夫かな〜」との声が。
ダイ○は負けず嫌いで、自分が上手に出来る事意外には積極的になりにくく、また、怪我に対して臆病な面もありました。それでも、半年一緒にサッカーをしてきて、ずいぶんたくましくなりました。そこで今回の先生役。
体験にきたヒデ○が、不安を感じつつ練習をする事になっては元も子もないので、いつでもサポート出来るよう準備はしていたのですが、その必要はありませんでした。
丁寧な言葉遣いで、わかりやすく、一生懸命教えようとするダイ○の姿がそこにはありました。
練習も終盤、躓いてこけてしまい泣いているヒデ○。ボールはコートの外へ。
ヒデ○がどうするか、少し見ていようと、手を差し伸べるのを我慢して、外からその後を見守ることにしました。
泣き続け、自分からあらためて練習に入っていけないヒデ○。
夢中になってボールを追っているほかの子は気がつかなかったのですが、そんなヒデ○をダイ○だけが発見しました。
ダイ○はヒデ○の肩をさすってあげ、ボールを取りに行くように促した様子。
少し時間はかかりましたが、その後ヒデ○はみんなと一緒に最後まで練習をこなす事が出来ました。
涙が出そうになります。
最後まで頑張ったヒデ○に、そしてなによりダイ○に。
環境が人を育てると言います。
だとしたら、指導者に出来るのはその環境作りだけ。
優しすぎず、厳しすぎず、手を差し伸べたり、遠くで見守ったり・・・。
子供達1人1人、またその置かれている状況によってもその匙加減は変わってきますが、その中で、子供達が一番成長できる環境を作る事がコーチの役割だと思います。
最近は、「知っていることを教えてあげること」よりも、「子供達から自分も知らない事を引き出すこと」が出来た時、教えていることの喜びを感じます。
僕も環境によって変わっているのでしょうか。
これからも、たくさんの変化がみんなにおとずれますように。
ちなみに・・・
昨日の夕刊にちょうど、「育つ環境」についてコラムがあったので抜粋します。参考までに。

  • ・・・コオロギの攻撃性が、育つ環境によってどう変わるかという研究だ。まず生育環境を集団と隔離とに分ける。隔離組の一匹を透明なプラスチックケースに入れ、隣の集団を見ることはできるが触れ合えないという状況で育てる。これを「インターネットコオロギ」と名づけるのだが、極端に攻撃性の強いコオロギに育つらしい。相手を最後には食い殺すほどの狂暴性だという。一方、集団組の方はにらみ合うだけでほとんど勝負がきまるそうだ。・・・

へんな例えになってしまいました。また反省です。